主婦および女児の逸失利益
●主婦
本来、家庭の主婦の家事労働は夫婦・親子間の愛情と相互扶助の精神に基づく無償行為であり、主婦の家事労働につき逸失利益を算定すべきでない、という主張もありましたが、
最高裁昭和50年7月8日によると「妻の家事労働が財産上の利益を生ずるものであり、これを金銭的に評価することが不可能と言えないことは、当裁判所判例※の示すとおりである。これと同旨の見解に立って主婦が事故による負傷のため家事労働に従事することができなかった期間について財産上の損害を被ったものとした原審の判断は正当として是認することができる。」との判断が示されました。
※最高裁昭和49年7月19日
実務上は女子雇用労働者の平均賃金を算定の基礎にしているのが実情です。
●女児
成長してからの就職の有無、結婚の可能性、結婚後の就業の有無、家事労働評価などの諸要素をどのように考慮するかは微妙な問題です。判例は賃金センサスによる女子労働者の平均賃金を基礎として逸失利益の算出をするものとされています。(最高裁昭和61年11月4日)
ただし、女児は女子労働者の平均賃金を基礎として逸失利益を算出するため男児との格差が生じている現状に対し、男女格差をなくす方向で逸失利益を算定すべきであるという意見もあるのですが、最高裁としては「就労していない女児の逸失利益の算定に当たり、女子労働者平均賃金を基準としても不合理ではない。」との判断で固まっています。
男女格差の是正方法として「女子労働者平均賃金に家事労働分を加算する方法」は最高裁により明確に否定しており、女子の生活費控除割合を男子よりも低く認定する方法が実務的に用いられているようです。
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